「ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は大事」とよく言われます。
ただ実際には、作っただけで終わってしまい、社内ではほとんど使われていないことも少なくありません。
MVVは、会社を立派に見せるための飾りではありません。
日々の判断や行動の基準にするためのものです。
この記事では、MVVの目的と、わかりやすい作り方を整理してご紹介します。
1. ミッション・ビジョン・バリューとは何か
まずは、それぞれの意味を簡単に整理します。
ミッション:何のために存在するのか
ミッションは、会社が果たす役割です。
「誰に、どんな価値を届けるのか」を表します。
たとえば、
- 地域の中小企業が安心してITを使えるようにする
- 忙しい家庭でも健康的な食事を選びやすくする
といった内容です。
ビジョン:どんな未来を目指すのか
ビジョンは、目指す将来の姿です。
数年後に、どんな会社になっていたいのかを示します。
たとえば、
- 地域で最も信頼される相談先になる
- 業界のわかりにくさを減らす存在になる
という形です。
バリュー:どう行動するのか
バリューは、日々の行動基準です。
仕事で迷ったときに、どう動くべきかを考える材料になります。
たとえば、
- わかりやすく伝える
- まず相手の話を聞く
- 小さく試して改善する
などです。
2. なぜMVVが必要なのか
判断の軸をそろえるためです
会社では、日々いろいろな判断があります。
どの案件を受けるか、何を優先するか、どんな人を採用するか。
その判断が人や部署ごとにバラバラだと、会社の方向もズレていきます。
MVVがあると、
「それは自社の考え方に合っているか」
という共通の基準を持てます。
会社の「らしさ」を伝えるためです
MVVは、社内だけでなく社外にも意味があります。
顧客や取引先、採用候補者に対して、自社が何を大切にしている会社なのかを伝えやすくなります。
迷ったときに役立つためです
MVVが本当に役立つのは、順調なときよりも、むしろ迷ったときです。
利益を優先するか、信頼を優先するか。
短期の売上を取るか、長期の方向性を取るか。
そうした場面で、判断の土台になります。
3. MVVはどんな場面で使うのか
複数の選択肢があるとき
一番わかりやすいのは、どちらを選ぶか迷う場面です。
たとえば、
- 同じような商品が複数あり、どれを買うか迷う
- A案件とB案件の両方があり、どちらか一方しか受けられない
- 施策が2つあり、どちらを優先するか決めたい
こういうときに、
「どちらが自社のミッション・ビジョン・バリューに合っているか」
で考えやすくなります。
選択肢が1つしかないとき
MVVは、比較するときだけに使うものではありません。
選択肢が1つしかない場合でも、その仕事をどう進めるかの基準になります。
たとえば、クリーニング店でシミ抜きが難しい服を預かる場面です。
このとき大事なのは、「受けるかどうか」だけではなく、どう対応するかです。
バリューに「ていねいに説明する」があれば、
- 落ちない可能性を先に伝える
- できないことを無理に約束しない
- 納得してもらったうえで預かる
といった行動につながります。
つまりMVVは、
何を選ぶかの基準であり、
同時にどう行動するかの基準でもあります。
4. 作り方のポイント
1)まずは現実を整理する
最初に大切なのは、かっこいい言葉を考えることではありません。
今の会社を正しく見ることです。
たとえば、
- どんな顧客に選ばれているか
- 何を強みとして見てもらえているか
- どんな会社になりたいか
を整理します。
2)ミッションを考える
ミッションでは、次のような問いが役立ちます。
- 私たちは誰の役に立っているのか
- どんな困りごとを解決しているのか
- なぜこの仕事をしているのか
3)ビジョンを考える
ビジョンでは、数年後にどうなっていたいかを考えます。
売上目標だけではなく、どんな存在になりたいかまで言葉にすることが大切です。
4)バリューを絞る
バリューは多すぎると使いにくくなります。
3〜5個くらいに絞ると、現場でも使いやすいです。
また、抽象的な言葉だけでなく、
実際にどんな行動につながるかまで考えると実用的になります。
5. 一般的な具体例
たとえば、地域密着のクリーニング会社なら、次のように考えられます。
ミッション
大切な衣類を、安心して任せられる地域の存在になる
ビジョン
「困ったらまずここ」と思い出してもらえる店になる
バリュー
- ていねいに説明する
- 約束した納期を守る
- お客様の気持ちにも配慮する
- 小さな改善を続ける
こうした内容であれば、派手ではありませんが、現場では使いやすいです。
MVVは、かっこよさよりも、仕事で使えることの方が大事です。
6. 失敗しやすいポイント
言葉が立派すぎる
難しい言葉は、社内で使われにくくなります。
MVVは、社員が自分の言葉で説明できることが大切です。
盛り込みすぎる
あれもこれも入れると、結局何を大事にしたいのかわからなくなります。
MVVは、絞った方が機能します。
作って終わる
ホームページに載せて満足してしまうと、社内で使われません。
会議や採用、評価などで繰り返し使ってこそ意味があります。
7. まとめ
ミッション・ビジョン・バリューは、会社を飾る言葉ではありません。
会社の方向をそろえ、判断しやすくするためのものです。
整理すると、次の通りです。
- ミッション:何のために存在するか
- ビジョン:どんな未来を目指すか
- バリュー:どう行動するか
そしてMVVは、
複数の選択肢から何を選ぶかを考えるときにも、
1つの仕事にどう向き合うかを考えるときにも役立ちます。
大切なのは、立派さよりもわかりやすさ、きれいさよりも使いやすさです。
MVVを会社紹介の飾りではなく、仕事の道具として作ることが、何より重要です。

ミタスサポート事務所代表。富山県で中小企業向けに経営とIT支援を行っています。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

