確かに、急に外部環境が変わり、自社の業績が悪化することはあります。
取引先が倒産した。
政権が変わり、制度や補助金の方針が変わった。
原材料の価格が一気に上がった。
そして、多くの企業にとって忘れられない出来事が、コロナの流行でした。
突然の営業停止。
人の流れの消失。
先の見えない不安。
こうした出来事は、こちらの努力とは無関係に起こります。どれだけ慎重に経営していても、防ぎきれないこともあります。その瞬間、「それは仕方がない」と思うのは自然な反応です。
問題は、その後です。
最初は「不運」でも、やがて「日常」になる
外部環境の変化は、最初は「異常事態」として受け止められます。
コロナが始まった頃、多くの人が「これは一時的なものだ」と考えました。
しかし、数か月、あるいは1年も経てば、それは「通常の状態」になります。
たとえば、主要な取引先が倒産した直後は、誰もが「これは想定外だ」と理解します。
ところが半年後も売上が戻らず、1年後も同じ状態が続いていたとしたら、そこから先はもう「非常事態」ではなく、「今の自社の現実」になっています。
環境は、元に戻らないことも多いのです。
元に戻るのを待ち続けるだけでは、時間だけが過ぎていきます。
峰不二子のセリフが教えてくれること
アニメ『ルパン三世』の中で、峰不二子がこんなセリフを言います。
「つまずいたのは誰かのせいかもしれないけれど、そこから立ち上がれないのは誰のせいでもないわ。」
とても冷静で、少し突き放した言葉ですが、経営にもそのまま当てはまります。
最初につまずいた原因が、コロナでも、取引先の倒産でも、政権交代でも、それは確かに自分の責任ではないかもしれません。
しかし、そこから何年も同じ場所に座り込んでいることは、もはや環境だけの問題ではなくなります。
具体例:制度変更とコロナに振り回された会社
ある業界では、補助金制度の変更に加えて、コロナの影響で一気に売上が落ちました。
最初の半年ほどは、どの会社も「制度が悪い」「コロナだから仕方ない」「国の方針が急すぎる」と話していました。
ところが、同じ環境でも、次のような差が生まれました。
・制度に依存しない商品を探し始めた会社
・オンライン販売や別の業界への転用を試した会社
・何もせず、コロナが終わるのを待ち続けた会社
1年後、結果ははっきり分かれました。
環境は同じでも、「動いたかどうか」で、現実は大きく変わったのです。
準備をしている会社だけが、流れに乗れる
ここで一つ、大切な視点があります。
それは、「準備しているかどうか」です。
外部環境は、悪い方向にだけ変わるとは限りません。
コロナ後に需要が戻る。
新しい制度が始まる。
業界全体に追い風が吹く。
こうした良い変化が起きたとき、すぐに成果を出せる会社と、何も変わらない会社があります。
その違いは、運ではなく、事前の準備です。
・新しい商品を試作していたか
・新しい顧客層を研究していたか
・体制を少しずつ整えていたか
普段の地味な準備こそが、外部環境が仮に自社にとって良い方向に作用したときに、一気に流れに乗れるかどうかを決めます。
何もしていなければ、チャンスが来ても、ただ通り過ぎていくだけです。
外部環境を「理由」で終わらせない
外部環境を分析すること自体は、とても大切です。
問題は、それを「結論」にしてしまうことです。
・コロナだから無理だ
・景気が悪いから仕方ない
・人手不足だからどうしようもない
こうした言葉は、状況を説明するには便利ですが、未来をつくる言葉ではありません。
説明で終わるか、次の行動につなげるかで、数年後の姿は変わります。
例えば天気と洗濯物
雨の日に洗濯物が乾かないとき、私たちはこう言います。
「天気が悪いから仕方ない。」
でも、毎日同じように雨が続いたら、
・部屋干し用の道具を買う
・乾燥機を使う
・干し方を工夫する
何かしら対策を考えます。
「いつか晴れるはず」と言いながら、ずっと濡れた洗濯物を眺め続ける人はいません。
仕事も、実はよく似ています。
おわりに:立ち上がる責任と、備える責任
外部環境が悪化したことを責める必要はありません。
最初につまずいた原因がコロナであっても、それは普通のことです。
ただし、峰不二子の言葉どおり、
「そこから立ち上がれないこと」は、誰のせいにもできません。
そしてもう一つ、
「良い流れが来たときに乗れないこと」も、環境のせいにはできません。
環境は選べなくても、準備はできます。
小さな準備を積み重ねている会社だけが、
悪い波をしのぎ、良い波に一気に乗ることができます。
外部環境のせいにして終わるか、
外部環境を材料にして備え続けるか。
その差は、時間が経つほど、大きな差になります。

ミタスサポート事務所代表。富山県で中小企業向けに経営とIT支援を行っています。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

