「社長の仕事って、結局何なんでしょうか?」
この問いは、経営者の方だけでなく、社員の方やこれから起業を考えている方からもよく聞きます。
会議に出ること、承認すること、忙しそうに電話をすること。確かに社長がやっている場面はよく見かけますが、それらの多くは社長でなくてもできる業務です。
では、本当に社長しかできない業務とは何なのでしょうか。
今回は、経営者以外の方にも理解できるよう、できるだけ分かりやすくお伝えします。
社長の仕事は「何でもやること」ではありません
まず押さえておきたいのは、社長の仕事は「一番働く人」になることではない、という点です。
社長が現場の細かい仕事で忙しすぎると、会社は意外と先に進みません。
極端な話、社長が毎日書類整理や細かな確認作業に追われていると、社員は「この会社、誰が将来のことを考えているんだろう」と感じます。
社長の役割は、手を動かすことよりも、考えて、決めることなのです。
社長しかできない業務① 理念・目指す姿・方向性を決めること
社長にしかできない、最も重要な業務は、会社の理念や目指す姿、そして進む方向性を決めることです。
「私たちは何のためにこの会社をやっているのか」
「どんな会社でありたいのか」
「どこを目指すのか」
これらは立派な言葉でなくても構いませんが、社長自身が納得していることが重要です。
例えば、「とにかく売上を追う会社」と「お客さまに長く選ばれる会社」では、日々の判断が変わります。
社員が迷ったときに立ち戻れる軸を示すことが、社長の役割です。
社長しかできない業務② お金の流れを最終決定すること
次に重要なのが、お金に関する最終判断です。
どこからお金を調達するのか。
そのお金を何に使うのか。
人に使うのか、設備に使うのか、将来のために残すのか。
経理担当や財務担当は、数字を整理し、シミュレーションを行うことはできます。
しかし、最終決定は絶対にできません。
なぜなら、その判断の結果に対して責任を負う立場ではないからです。
「この投資が失敗したらどうなるか」
「借入を増やした場合、最悪どうなるか」
こうした覚悟を伴う判断は、社長にしかできません。
お金の使い方は、その会社の価値観と未来を映す鏡です。
社長しかできない業務③ 最終責任を引き受けること
そしてもう一つ、社長にしかできないのが、最終責任を引き受けることです。
例えば、新製品を開発し、発売したものの、まったく売れなかったとします。
このとき、
「営業の説明が悪かった」
「現場の詰めが甘かった」
「市場が悪かった」
と理由はいくらでも挙げられます。
もちろん、分析として原因を考えることは大切です。
しかし、「出す」と決めたのは誰かを考えると、最終的には社長です。
社長が「これは自分の判断だった」と引き受けるからこそ、社員は次の挑戦ができます。
もし責任を現場に押し付ければ、次から新しい提案は出なくなるでしょう。
社長とは、成功よりも失敗を引き受ける役割を持つ存在なのです。
社長しかできない業務は「個人でも同じ」です
ここまで読んで、「会社だから特別な話」と感じた方もいるかもしれません。
しかし、これは一個人で考えてもまったく同じです。
これまでの人生を振り返ってみてください。
進学や就職などの進路を、最終的に決めてきたのは自分です。
何を買うか、どこにお金を使うかを決めてきたのもあなたです。
将来どうなりたいかを夢見てきたのも、やはり自分です。
これらを自分以外の誰かに任せることはありませんよね。
最終判断は、必ず自分でしてきたはずです。
法人も同じです。
法人という「人」において、理念を決め、方向を定め、お金の使い方を決め、結果の責任を負う。
これら意思決定という業務を遂行できるのは、法人のトップだけなのです。
社長の仕事は「決めて、任せて、見守る」
社長しかできない業務を整理すると、次の3つです。
- 理念や目指す姿を含めた会社の方向性を決める
- お金をどこから調達し、何に使うかを最終決定する
- すべての結果の責任を引き受ける
それ以外の業務は、任せることができます。
社長がすべてを抱え込まなくても、会社は回ります。
もし最近、「社長の仕事をしていないかもしれない」と感じたら、
作業をしている時間を少し減らして、会社の未来を考える時間を取ってみてください。
それこそが、社長にしかできない、誰にも代われない業務なのです。

ミタスサポート事務所代表。富山県で中小企業向けに経営とIT支援を行っています。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

