「経営は最後は気合だ」「勢いがあれば何とかなる」といった言葉を聞くことがあります。たしかに、行動力や粘り強さは大切です。しかし、それだけで経営がうまくいくなら、苦労している会社はもっと少ないはずです。
結論から言えば、経営は計画がすべてです。しかも、その計画は頭の中にあるだけでは不十分で、文章などで見える化し、共有されて初めて意味を持ちます。
業績の悪い企業に、ほぼ必ずある共通点
業績が悪い企業を見ていくと、ある共通点が見えてきます。それは、ほぼ必ずと言っていいほど、計画がないことです。
正確には、「計画が存在しない」か、「計画らしきものはあるが、誰も説明できない」状態です。
売上目標だけは掲げていても、「なぜその数字なのか」「どうやって達成するのか」が曖昧です。その結果、日々の判断は場当たり的になり、忙しいのに成果が出ないという状況に陥ります。
経営をマラソンにたとえてみます
ここで、経営をマラソンにたとえてみます。
たとえば、フルマラソンでゴールタイム4時間を目指すとします。スタート前に、多くの人はこう考えるはずです。
「5キロ地点では何分くらい」「10キロ地点ではこのくらい」と、大体の通過タイムを決めます。
いきなり42.195キロ先のゴールだけを見て、何も考えずに走る人はほとんどいません。途中でバテるのが目に見えているからです。
将来の自分の姿が見えている状態
さらに、実際に走っているときのことを想像してみてください。
「あそこの交差点を右に曲がって、次にあのビルの角を左に曲がる」
そんなふうに、少し先の自分の姿が自然と頭に浮かんでいると思います。
これは、ゴールまでの道筋が事前にイメージできている状態です。経営における計画も、まさにこれと同じです。
計画とは「あらかじめ決めておくこと」です
良い計画とは、その場その場で悩むものではありません。
あらかじめ「こうする」と決めておき、淡々と実行するだけの状態になっているのが理想です。
マラソン中に毎回、「今のペースでいいのかな」と悩み続けていたら、走ること自体がつらくなります。経営も同じで、判断が多すぎるほど消耗します。
結果が違ったら、そこで修正すればよい
もちろん、計画通りにいかないこともあります。
マラソンでも、予定よりペースが速すぎたり、遅れたりすることはあります。その場合は、「少しペースを落とそう」「ここから挽回しよう」と修正します。
経営も同様で、計画が間違っていたら修正すればいいのです。大切なのは、修正するための基準があることです。計画がなければ、ズレているかどうかすら分かりません。
頭の中だけの計画は、計画とは言えません
「計画は考えている」という経営者の多くは、実は頭の中だけで考えています。
しかし、頭の中の計画は非常にあいまいです。忙しくなると忘れますし、気分によって変わります。そして何より、他人と共有できません。
これは、スタート前に通過タイムを考えたつもりで、紙にも書かず、誰にも伝えずに走り出すようなものです。
これでは指揮者とランナーの意思(狙い)が本当に同じかどうかわかりません。
見える化と共有が、計画を本物にします
計画は、文章でも表でも構いません。重要なのは、見える形にすることです。
見える化することで、「ここがあいまいだ」「この数字は無理がある」といったことが明確になります。そして、それを関係者と共有することで、計画は個人の考えから組織の共通認識になります。
全員が同じ地図を持って走っている状態をつくることが、経営には欠かせません。
計画は完璧でなくていいです
ここで強調しておきたいのは、計画は完璧でなくていいということです。
むしろ、最初から完璧を目指すと、いつまでもスタートできません。
「今の時点でベストだと思う計画」を書き、共有し、走りながら修正する。それで十分です。カーナビも、道を間違えたら静かに「再検索します」と言うだけです。
おわりに
業績の悪い企業には計画がなく、業績の安定している企業には計画があります。これは偶然ではありません。
計画を立て、見える化し、共有することで、経営は「悩み続けるもの」から「淡々と進めるもの」に変わります。
もし今、「忙しいのに成果が出ない」「何を優先すべきか分からない」と感じているなら、一度立ち止まって計画を書き出してみてください。
ゴールタイムや走る距離を決めずに走るマラソンほど、つらいものはありません。経営も同じです。まずは、未来の自分が見える地図を描くことから始めてみてください。

ミタスサポート事務所代表。富山県でIT支援を営んでいます。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

