仕事でExcelを使っていない人を探す方が難しい時代です。表計算、集計、グラフ作成など、Excelは非常に便利な道具です。そのため、「困ったらExcel」「迷ったらExcel」となりがちです。
一方で、Excelファイルが増えすぎて管理できなくなったり、動作が重くなったり、誰も触れない「聖域マクロ」が生まれたりと、悩みも尽きません。
この記事では、Excelをやめる話ではなく、Excelに頼りすぎないための考え方と、特にマクロとの付き合い方について整理していきます。
なぜExcel依存が起きるのか
Excel依存の原因は「すでに使えるから」です。新しいツールを導入するには説明や調整が必要ですが、Excelなら説明不要で始められます。
その結果、本来は専用ツールや仕組みで行うべき管理までExcelで対応することになります。最初は便利ですが、次第に「壊れやすく、属人化しやすい」状態になります。
これはExcelが悪いわけではなく、万能選手として酷使されている状態と言えます。
Excelが苦手なことを知る
Excelは「個人作業」や「小規模な集計」が得意です。一方で、次のようなことは苦手です。
・複数人で同時に使う
・履歴や変更理由を正確に残す
・データ量が増え続ける管理
これらを無理にExcelで行うと、ファイルは巨大化し、扱える人が限られていきます。
マクロは便利だが、依存しやすい
Excel依存を語るうえで、マクロの存在は避けて通れません。
マクロは、繰り返し作業を自動化できる非常に便利な機能です。「ボタンを押すだけで完了する」体験は、一度味わうと手放しづらくなります。
しかし、マクロには落とし穴もあります。作った本人しか内容を理解していない、修正方法がわからない、エラーが出ると誰も触れない、といった状況が起きがちです。まるで「触ると怒られそうな機械」です。
マクロが増え続けると何が起きるか
マクロが増えるほど、Excelファイルはブラックボックス化します。
例えば、毎月の集計作業をマクロで自動化しているケースを考えてみます。最初は数分で終わって感動しますが、項目が増えたり、ルールが変わったりすると修正が必要になります。
そのたびに「このマクロ、誰が作ったんだっけ?」という会話が発生します。結果として、「壊れるのが怖いから触らない」ファイルが完成します。
マクロで頑張りすぎないという選択
ここで大切なのは、「マクロを使うかどうか」ではなく、「どこまで任せるか」です。
一時的な作業や個人用の効率化であれば、マクロは非常に有効です。一方で、業務の中核や複数人が関わる処理をマクロに任せ続けると、引き継ぎが難しくなります。
「マクロがないと回らない業務」になっていないか、一度立ち止まって考えることが重要です。
小さな置き換えから始める
Excel依存からの脱却は、いきなり大きく変える必要はありません。
例えば、データ入力は別のツールで行い、Excelは集計と確認だけに使う。あるいは、マクロで処理していた入力チェックを、入力段階で防ぐ仕組みに変える。
これだけでも、マクロの複雑さは大きく減ります。
目的でツールを選ぶ
「自動化したいからマクロ」ではなく、「何を楽にしたいか」で考えることがポイントです。
共有が目的なら共有に強いツール、履歴管理が目的なら履歴が残る仕組みがあります。Excelとマクロは、その中の一つの選択肢に過ぎません。
おわりに
Excelもマクロも、正しく使えば非常に優秀な道具です。ただし、背負わせすぎると、いつか限界が来ます。
まずは一つ、「この作業、本当にExcelとマクロでやり続けるべきか?」と考えてみてください。
その小さな見直しが、Excel依存からの脱却の確かな一歩になります。

ミタスサポート事務所代表。富山県でIT支援を営んでいます。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

