「倫理を守ると儲からない」「儲けようとすると何か後ろめたい」。この二つは、仕事やビジネスの話になると、よくセットで語られます。まるで天秤にかけて、どちらかを選ばなければならないかのようです。ただ、この問いは少し整理すると、見え方が変わります。本当にどちらかを捨てる話なのかを、できるだけわかりやすく考えてみます。
倫理と収益は何が違い、なぜぶつかるのか
倫理とは、「それをやって問題ないか」「人としてどうか」という判断基準です。一方、収益は「活動を続けるために必要なお金」です。どちらも欠かせません。倫理だけを重視して赤字が続けば、事業は続きませんし、収益だけを追って信頼を失えば、やはり長続きしません。
ここで誤解されやすいのが、「倫理はきれいごと、収益は現実」という考え方です。しかし倫理は理想論ではなく、現実を安定させるための仕組みでもあります。交通ルールを守るのは善人アピールではなく、事故を減らすためです。赤信号を無視すれば一瞬早く進めますが、そのあとに待っているのは、だいたい冷や汗か警察です。
一般的な例で考えるとどうなるか
例えば、商品説明を少し誇張すれば売上が伸びそうな場面を想像してください。「実際よりよく見せる」ことで、短期的な収益は上がるかもしれません。しかし、購入者が期待外れだと感じれば、クレームや悪い評判につながります。結果として、修正対応や信用低下で、時間もお金も失うことになります。
一方、正直な説明をすると、最初は売れ行きが地味かもしれません。ただ、「嘘がない」「安心できる」という評価は少しずつ積み重なります。派手さはありませんが、気づいたら「なんとなくここを選ぶ」という立場になることがあります。これは宝くじのような収益ではありませんが、長く続くタイプの利益です。
倫理を優先すると本当に儲からないのか
結論から言えば、「すぐには儲からないことはあるが、長く見ると損をしにくい」です。倫理は即効性のある必殺技ではありません。どちらかというと、毎日の歯磨きに近い存在です。やった瞬間に劇的な変化はありませんが、やめると確実に問題が出ます。
短期的な数字だけを見ると、倫理は遠回りに見えることがあります。しかし時間軸を伸ばすと、「問題が起きにくい」「説明コストが下がる」「疑われにくい」という効果が見えてきます。これは収益に直結しにくい分、軽視されがちですが、実務ではかなり重要です。
迷ったときの現実的な判断基準
判断に迷ったときは、「これを誰かに説明するとき、変に言い訳が増えないか」を考えるとよいです。説明が長くなるほど、だいたい無理をしています。また、「これを一年続けたら、どんな状態になっているか」を想像するのも有効です。短期の利益だけでなく、その行動が積み重なった未来を見ると、選択肢が絞られることがあります。
おわりに
「倫理と収益、どちらを優先するか」と問われたら、「倫理を土台にして収益を考える」と答えるのが現実的です。二択のように見えて、実は順番の話です。土台が不安定な建物が長持ちしないのと同じで、倫理のない収益は続きません。地味ですが、倒れにくい。そんな判断を積み重ねることが、結果として一番効率的なのかもしれません。

ミタスサポート事務所代表。富山県でIT支援を営んでいます。
中小企業診断士/ITストラテジスト/情報処理安全確保支援士。
確かな知識と実務経験を元に、役立つ情報を随時発信中。
小さな事業者向けに小回りの利くITサービスやサイバーセキュリティ対策に力を注いでいます。

